男子テニスの今後の行方

テニス

永らく続いたBIG4時代(フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレー)もマレーの怪我による離脱(引退を表明)でBIG3となった。

まだまだこの3人は健在で未だに衰えを知らない。いや、年齢の衰えを感じさせないくらいテニスの勝ち方を理解して年相応の戦い方ができるていると表現した方がいい。

2020年、東京オリンピックを迎えるわけだが、特にここ10年ほどの男子テニスは面白くなっているので、今後の展望を私なりに予想したいと思う。

BIG3の存在

3人とも既に30オーバーの年齢に達しているのに相変わらずランキングでは上位を独占している。この3人ならもう数年は、上位を独占する状況は続くと思われる。

しかし、マレーが怪我でやむなく引退を表明したように他の3人も当然ながら怪我による引退はあり得ることだろう。3人ともここ数年で大きな怪我をやっていながら、見事にカムバックを遂げた結果、今の状態があると言っていい。

この3人が長い期間でも圧倒的に強いのは、勝ち方を心得ている点とそれに対応できる能力がある点である。それに加えて、年齢に応じた戦い方ができるている点である。3人とも苦しい時期があったりしたのだが、自己修正能力で見事に乗り越えてきた。

相手側目線に立つと、BIG3という存在だけで普段と違ったテニスを強いられる。普通にやっては勝てないから無理なプレーをしてしまう。それがいい結果に繋がればいいが、あっさりと負けてしまうこともある。そして4大大会のような5セットマッチの試合では、いい結果が最後まで続く可能性は低くなる。相手側としては、常に120%で戦わなければならない心理状況で挑まなければならない。相手側は、戦う前からこのような状態なのだ。そうなると、やはり勝つことは困難だろう。それだけ3人は強すぎる域に達しているということだ。

長らくトップに君臨する3人はこうした格下相手と幾度となく対戦して勝ってきているから、格下相手には絶対の自信を持って臨んでいるだろう。

BIG3の下の世代は不運な世代

BIG3は若い時からトップに君臨している。したがって、その下の世代は、彼らになかなか勝たせてもらえないまま年齢を重ねていってしまった。日本の錦織選手もそのうちの1人だ。彼らも幾度かはグランドスラム優勝が垣間見えたこともあった。現にファン・マルティン・デルポトロ(アルゼンチン)やマリン・チリッチ(クロアチア)は1度優勝している。

それでもBIG3にほとんど勝たせてもらえずトップに到達することができないまま現在に至る。彼らは、BIG3と年齢も大きく変わらないことから、残念ながら今後のグランドスラム制覇やランキング1,2位にはなれない可能性が高い。なぜなら既にその下の世代が台頭してきている。彼らの推進力を抑えたうえでBIG3に打ち勝つことは難しくなる。トップに君臨できなかった彼らは、格下相手に名前でひれ伏させることも実力でねじ伏せることも容易ではない。

20代前半の若い世代の台頭

最近、ようやく若手世代で有望株が現れるようになった。これまでBIG4とその付近の世代で、ランキング10まで占拠していたが、BIG4はBIG3になり、その付近の世代は怪我や衰えなどでランキング10から落ち、代わりに20代前半の若手世代が台頭し始めている。

アレクサンダー・ズべレフ

ティーム

チチバス

彼らがランキング10位内入るようになった。

そろそろ新BIG3が生まれてきてもおかしくはない。おそらく東京オリンピック辺りを境にランキングに変動が出てきそうだ。

まずは37歳になったフェデラーから崩していくかと思われるが。ただし、若手世代は、ここで大きな怪我だけはしないようしたい。世代をひっくり返す大事な時期を逃すと、またズルズルと世代交代出来ない可能性もあり得る。とにかく今後の若手に期待したいところだ。

日本選手について

女子は大阪なおみが日本人選手としてグランドスラムを2度制覇し、ランキングでもトップ1になることができた。まだ若く、今後もグランドスラム優勝の可能性はあるし、生涯グランドスラムも夢ではない。

男子に戻ると、錦織圭が2014年、全米オープンで決勝まで進んだが、惜しくも敗退。あそこで優勝できたなら今はまた違った形で迎えていたかもしれない。ターニングポイントだっただろう。

それ以降はランキング10位内にはいるもののマスターズ1000やグランドスラムで優勝できる感じはない。BIG4にもきちんとマークされ、ほとんど勝てないでいる。

今後もBIG3とそれほど年齢差もないので、彼らに打ち勝ってグランドスラム制覇という光景は見えてこないだろうというのが一般的な見解だ。メディアも以前ほど熱を帯びなくなった。

体格面の差をひっくり返すことができない限りは、7戦を勝ち抜くことはまず無理だろう。2014年の時ほどの勢いは見られない。おそらく東京オリンピック辺りが現役ピークの最後だろう。それまでに何とか活路を見出して欲しい。

では、錦織以外の選手で有望株がいるかというとちょっと見当たらないというのが率直な意見。ランキング30位圏内くらいだったら、考えられなくもないが、錦織並みの選手、それ以上の選手になりそうなのは、今のところ見当たらない。

グランドスラム制覇できる日本人は現れるか?

錦織選手が現れてようやく男子テニスでも世界の壁を破る日本人選手が現れた。サッカーで言えば、1998年ワールドカップ仏大会でようやくワールドカップ出場を果たし、2002年の日韓大会で世界相手に勝つことができた。それから20年近く経って、ようやく世界のトップクラブに通用する有望株(久保選手等)が現れた。おそらく男子テニスでもグランドスラム制覇する日本人選手が現れるのはもう数十年後の話になるだろう。

日本人を探せば、必ずグランドスラム制覇できる才能ある子は確実にいると思う。日本では才能溢れる子どもたちは、まず野球選手を目指す、続いてサッカー。男の子で言えば、この二種目でほとんど奪われてしまう。ここにテニスが割込めれば、恐らく話は変わってくるだろう。

錦織選手を見て、やはり強力なサーブを打てる185センチ以上の体格の選手じゃないとテニスの世界ではトップになれないことは証明された。日本のテニス関係者がテニス人口をもっと増やし、才能ある原石を見つけられるかが鍵になるだろう。

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