まずは、ウィンブルドン選手権2019でベスト8おめでとうございます!!ここ最近で一番白熱した試合ではなかったでしょうか?ただし、まだフェデラーとの実力差はこれほどあるのかと思い知らされましたし、さすがは芝の王者というべきでしょうか。フェデラーも錦織を倒してナダルと戦うのはけっこうハードだとは思います。今大会、BIG3を苦しめた唯一の選手が錦織でしょう。
話は変わりますが、
現在、グランドスラムと言われる四大大会で錦織が1番活躍した時は2014年の全米オープン決勝進出。そこまでです。あの時は、怪我で直前まで試合や練習ができるずに迎えたグランドスラムだけあって、あまり期待していませんでした。しかし、順調に勝ち進み、特に4回戦以降はラオニッチ、ワウリンカにフルセットで勝利し、準決勝でジョコビッチに3ー1で勝った時は日本中も大喜びしました。だが決勝のチリッチ戦は、それまでのテニスはどこに行ったのやら。チリッチのサーブとストロークのキレは迷いがなく、崩すのは大変だったかもしれませんが、過去の対戦成績とジョコビッチを破った勢いなら優勝するはずとタカをくくっていました。それがあっさり3ー0で敗退。あの敗戦は結局、今でも響いているということでしょう。未だにグランドスラムで優勝できていません。
その翌年がチャンスの年ではあったとは思いますが、強くなった錦織は研究され、BIG4にも警戒され、簡単には勝たせてくれなくなります。その後、上位選手が相次いで怪我した時に優勝へのチャンスが開けたかに見えたが、本来勝てる選手にも負けてしまうという勝負弱さも露呈しました。結局、自身も怪我で長期離脱。復帰後もジョコビッチほどのインパクトを残せず、それでもそのまま潰れなかったのは大きかったかもしれません。
格下相手には勝つ安定力は戻ってきましたが、上位選手に相変わらず勝てない。特にジョコビッチには10連敗以上連続負けを継続中です。そんなこんなで、ついに若手のホープであるティームやズべレフが現れると、ランキングも中々上がってこなくなります。また、2019年、全豪、全仏はBIG3にあたる頃には、前戦のフルセットの連続で、ガス欠で戦う準備すら整っていない状況が増えています。
そんな中、メディアや名だたる日本人レジェンドたちが指摘したように年齢に適した省エネの戦い方で、グランドスラムの前半戦を戦い抜くことを意識し始めました。2019年、ウィンブルドン選手権では3回戦までストレート勝ち、4回戦は3ー1というセットをほとんど失うことなく勝ち進むことができました。そして、準決勝のフェデラーと対戦します。残念ながら3ー1で敗退。1セット目を失ったフェデラーが2セット目すぐさま修正してきた。完全に主導権を握ったフェデラーの方が1枚も2枚も上手でした。この試合内容を見ると、未だに錦織はBIG3に競ることすらできていない厳しい状況だと分かります。
今後、よりグランドスラム優勝のチャンスは減ると思います。錦織は178cm、75kg。テニス選手の中では小柄で体格的に圧倒的に不利です。身長がもう少しあれば、サーブの威力や精度も安定し、とっくにグランドスラムで優勝していただろうと思いますが、たらればの話しても仕方ありません。30代を迎える中で考えなければならないのは体力とフィジカルの衰え。これらをカバーできるだけの経験と技術、そしてメンタルです。グランドスラムで優勝するには、最後のメンタルが大きな鍵を握っていると思います。7戦勝ち続けるには必ず苦しい場面があります。それを乗り越え、集中力を維持することが必要とされます。
チャンスは減るかもしれませんが、BIG3も当然落ちてくるタイミングはあると思わるので、その時に勝てるようにしておきたいのとそのタイミングでコンディションを整えておける運も必要かもしれません。今大会のウィンブルドン選手権では、格下相手にストレート勝ちで強さを見せつけたこと、大事なポイントで自分を鼓舞できたことが大きいと思います。上位選手は必ず苦しい場面でポイントを自分のものにした時に吠えます。あれは、ポイントを取った喜びだけでなく、自分は強いと言い聞かせる自分自身を鼓舞する叫びのように思えます。今までの錦織にはなかった気がします。
それでもフェデラーにはまだ及ばなかった。試合見てて残念だったのは、2セット目のフェデラーの前寄りな攻めに焦ってまともに対応出来ていなかった点です。あの6ー1の落とし方では1セット目を取ったアドバンテージが全く意味をなさないどころかフェデラーに3セット目以降の弾みをつけさせてしまった感が否めません。3セット目以降は何度か形勢逆転できるチャンスはありましたが、毎回のサービスキープに苦労する展開が、後のリターンの質の低下に繋がったといえます。やはり、サーブの質と3球目の対応の質に差があったのではないでしょうか。また、サーブアンドボレーの成功率が両者の明暗を分けたといっても過言ではありません。もう少し楽にサービスキープできればレシーブにも集中でき、凡ミスが減るのではないかと思わせた試合内容でした。
最後に今後、グランドスラム優勝の可能性はあるかと問われると、現状は、ほとんどあり得ないでしょう。あって1、2回決勝に進出することはあるかもしれませんが、BIG3との差は依然埋まっていません。しかしながら、あの小柄な体格でここまでのテニスをキープしていることは凄いことです。正直、テニスのレベルはBIG3と変わらないですが、体格面での不利がやはり一番かなぁって思います。あの3人よりも高さ、リーチが短いわけですから、その分、早く動かなければ届かない。BIG3を見ていると、テニスに向いている選手というのは185cmくらいなのでしょう。それでも日本人選手がトッププレイヤーと対等に渡り合える時代が来るなんて考えもしなかったのも事実です。この先、テニス人口が増えれば、野球の大谷選手やサッカーの久保選手のような逸材が現れるかもしれません。まだまだ、日本で男子テニスに注目が集まったのは、ほんとに最近ですし、その先駆者としての錦織選手をこれからも応援していきたいと思います。テニスを観戦するならWOWOWです。
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